砂の海で 錆びたシャベルを持って まるで闘う様に 夢を掘る人 赤く燃える太陽に 身を焼かれても 必死で 這い上がろうとする 愛する人の 命に値がついた そこら中に頭を下げても 足りなくて 「石油でも掘る以外 無いんじゃないの?」って 皮肉を 本気にして飛び出した でも 掘り出したのは 長い年月 「Sir Destiny、アンタ、人の命を転がして 大層楽しいだろう? 笑えよ 見てるんだろう? この俺がジタバタもがいてるのを」 死んだ街で 夜のドレス纏って 作り話の様な愛を 売らされる人 誰かの胸に腕に 身を預けても 心は ただ一人を待つ 愛するあの人は 優しく嘘をついた 「二人は大丈夫 明日を信じて待っていてくれ」 「信じられる要素なんて どこにあるの?」って 思いながらも その言葉を おまじないの様に 呟き続けた 長い年月 「Sir Destiny、アナタでも この気持ちは動かせないでしょう? 幾度目の朝も 変わらず 優しいあの嘘を 思い出してる」 夢を掘る人 それを待つ人 定めよりも 互いを信じていた とある街の小さな教会で 優しい長生きおばあさんが 眠りについた ろくに動けなくなってからも 毎朝 何かを呟いて 微笑んだ 砂の海で 折れたシャベルを持って 作り話の様な 夢を掘る人 刻まれた皺の奥の 瞳は未だ 必死で ただ 必死で 掘り出したのは-… 「Sir Destiny、アンタ、俺を見てるか 「もう飽きた」なんて 言わせないぞ 今にも 夢を掘り出して 見事悔しがらせてやる」 「Sir Destiny、俺の夢って何だったっけ? 何が ここまで俺を動かしていたんだっけ? 大事な何かを待たせていた様な…」 夢を掘る人 それを待つ人 幾つもの夜を 乗り越えた嘘