またね…と差し出す君の手を
ウソだと知ってて握りかえす
季節ごとに色を変える 桜の木の下で別れた
信じてると言った言葉が
何より信じられなくなった
移ろうのは人の心
季節のせいなんかじゃなくて
サクライロの雨
この視界ごと濡らして
何もかもかき消して 終わらせて
強がる背中に羽を見た 今は昔
痛みだけ甦る
攫 (さら)われて深く 永遠に続く川へ
木の葉のよう 手足さえ揺らめいて
何処へ行くのだろう?
天地の感覚も失ったこの三叉路をいつか見た気がして
立ち尽くした…
「オヤスミ」って閉じたやりとりも
律儀な君のせいでもう一通
優しい日々は 脆 (もろ)すぎて
花びらのように風に舞うよ
新しい靴を今日買ったよ。と 瞳を輝かせ笑う君に
何故か胸騒ぎ覚えた
あの日に戻れたら良いのに…
モエギイロの夜
少しずつ熱を帯びた
宵闇は感覚を狂わせて
聞こえないふりで眠りにつけば
幸せの呪文がまた甦る
願ってた 強く
これが夢だと言うのなら
覚めないで このままで終わらせて
命と言う名を誰かがつけた時計の秒針が
カタリと音をたて 叫んでいた
君の後ろ姿さえ 明日への希望に思えた日を
幻にしないように 瞼へと刻んだサヨナラ
サクライロの雨
この涙 塗りつぶして
もう二度と昨日など見ないよう
強がる背中が空を見てたのは確か
あの日々は輝いて
羽 (は)が落ちた今も萌葱の風は吹くから
潤ませた追憶を羽ばたかせ
誠実と夢を心のつぼみと抱いて
立ち上がり見上げた三叉路で
雲が切れた…