手首足首 落として
曲がる腕膝 剥がして
頸と頭を 離して
月の転がる匣の中に
敷き詰める
閉ざさぬ眼球(ひとみ) 映したのは
僕にはけして見えぬ何か
いつもと変わらず妬ましく
その子を少し憎みました
ああ何故あなたは
僕にほんとの痛み
教えてくれなかったの
母さん
床に広がる真っ赤な海と
おんなじように
涙の粒も熱いのですか
性はどっちに向かうの
雄も雌にも成りたくない
成はしない
微笑み行き交う人たちは
僕にはけして知らぬ誰か
また今日も人形を抱いて
気づけば壊しているのです
ああ何故あなたは
僕にひとつの愛も
授けてくれなかったの
母さん
胸に溜まった真っ赤な膿に
息を詰まらせ
あなたのなかへ
戻してください