月光の冷たさに
骨がそっと 氷る
雪のような胸の下は
赤い薔薇の シャーベット
蜉蝣の翅も軋む
眠りへの階段
踏み出すたび 痛みの欠片
ひとつふたつ こぼれて融ける
糸杉の間に間に
ゆれるのは 魂
世にもやさしい目で
わたしを見ている
少しだけ今だけ
生きるのを止めよう
すべてを忘れたら
もういちど目覚める
月光は 銀の爪で
絹の糸をつむぎ
縫い綴じるよ 玉兎 (うさぎ)の見た
いつか降りる 終嫣の 悪夢 (ゆめ)
心はこんなにも
儚い匣だから
ひとつぶの涙の
重さを知ってる
少しだけ今だけ
生きるのを止めよう
何もかも忘れて
もういちど生まれる
糸杉の間に間に
ゆれるのは 魂
世にもやさしい目で
あなたを見ている
少しだけ今だけ
生きるのを止めよう
何もかも忘れて
もういちど生まれる