憂いの三日月に 恋したうさぎは
光のしずくで からだを染めるよ
手をのばせば何でも 届くと信じられる
胸刺す月の針 光を紡いで
あなたを 迎え飛ぶ 絨毯をつくる
くちびるを濡らしても 触れるのは風ばかり
ひとりきりの 蒼いこの世界で
天鵞絨の闇の中で 泣きながら眠る
悲しみよ 夢の中で 立ち止まるがいい
感じる指先の 鮮やかな記憶
あなたに逢うための 祈りをつづける
まばたきをする間 ぬりかえられるけしき
ひとりではどこへも 飛ぶことができない
遠い国へ 誘うことまでも
幾千の年月が過ぎても
あなたから届く月の便りを
ただ 待つばかり
わたしは月姫 哀しい運命の
金の文字が ひとみに沁みる
涙がこぼれて 止まらない
抱きしめられるたび 帰ってゆく想い
それは昔きいた おとぎ話の中
息をひそめ 美しき夜に
苦しみは森に潜む 青蛾の羽の
銀粉にまかれながら 消え失せてしまえ
花に埋もれ オフィーリア わたしはここに
狂気に埋もれた夢を とり戻すために
光に包まれて 抱かれて眠れ
悲しみよ 夢の中で 凍りつくがいい