泣けばいい 鳴くがいい
傷負う白虎となり
溢れる血 嘗め取れば
西の空に垂れる夕星(ゆうづつ)
眼に映った世界が全てと
匣庭で謳う愛の寒さ
革底の足は土に触れたかい
汚れぬ体はどこに流れつく
今日を屠る
明日を殺す
君を見失う
まだ二人
出逢ってもないというのにね
笑えばいい 嗤うがいい
甲羅巻く玄武(へび)のように
捩る蛇腹(はら) 黒々と
そんな奴も素敵かもね
右や左のアァ旦那様
銭で買えますか
身の程知らぬゆえに
望むものみな手に入れます
誰もが抱える闇という魔物
月影の鞘に封じ込めれば
見たことない幻覚(ゆめ)
鮮やかに磨がれ
恐れるものなど目の前にはない
僕は個体
君は個別
違う場所を生き
つながっていたければ
共に羽をもげ
飛べばいい 翔ぶがいい
炎の朱雀のように
交わった僕たちは
夜の果ての十字星だ
どこに墜ちても鬼の頭上か
背を突き破る角
後ろ指さす人間の
爪よりいくらか温かい
泣きたけりゃ鳴くがいい
傷負う白虎のように
吹き出す血舐め取れば
東の空泳ぐ雷雨
怒りたきゃ怒ればいい
牙を剥く青龍(りゅう)のように
蒼褪めた季節には
散らす葩の鱗もなく
日はまた昇る まだただ昇る
紅の円陣
さあ僕の胸を狙え
此処は最後の
結界
爆心