窓のない昏い部屋
白い手が蝋燭を置く
閉じたドア 私独り
横たわり
生まれくる前にくるまれる
不快深く浮遊の渦
澱む波間で沈んだ
もうひとつ在る世界で
もうひとりのわたしがあなたと居る
無垢をよそおう微笑と
濡れた髪が
意味をもち艶めいて
本当のワタシはどっち?
壁を這う異形より
魂は醜いもの
好きと云う気持ちだけで
もう他に
心には何も譲らない
歪む揺れる波動の殻
止め処無く繰り返した
私のなかのわたしが
捨てたいのは未来かそれとも過去
開きつづけたこの眼球が
血に染むほど
あなたを夢見ている
囚われた私はどっち?
もうひとつ在る世界で
もうひとりのわたしがあなたと寝る
破瓜の痛みに最後の
脆いつばさ
粉々に砕け散る
元にはもう戻れないのね
わたしのなかの私が
望むものは現在か消える未来か
震える胸を押さえて
血を吐くほど
あなたを愛していた
ここに居るワタシは誰?