盛りの森で わたし眠る
あなたの夢を
噎せるような 香りに涵し
ここから見上げる
星は 金の鎖
静かな胸を 慄わすのは
あなたが去った
足音の凍った欠片
梢に掛かった
月は 銀の斧
金木犀が 揺れてる
人はなぜ はるかなる
天ばかり 仰ぐのだろう
帰ってゆくのは
深い深い土 その下なのに
いくつ辿って 思いだせる
痺れるくらい
甘い記憶 ひとつふたつ
指をのばしても
触れるのは 風だけ
金木犀が 散らばる
弔いの列のように
時が 通り過ぎて逝く
この目を閉じれば
遠い遠い日に 戻って行ける