世界の果てから
見たなら ここが
世界の果てね
曇った 天窓
年老いた画家が
暮らす部屋よ
世界中に あふれる
色という色を
見てきた あなたが
描いた 少女像 (わたし)は
画布 (キャンバス)のうえで
蒼く 沈み
わたしより先に
大人になってく
暖炉を 灯した 夕暮れ
天へと むかうのは 炎
わたしは
かじかむ あなたの
乾いた指を つつむ
くずおれた灰に
おちるのも炎
その胸に 深まる海で
泳ぎを止めた
哀しみの 魚たちの行方
わたしにきかせて 欲しいと思う
わたしの眸は
未来を見つめても
輝けないのに
あなたは色褪せた
写真の青年の
眸のまま
しずかに絵筆は
遠い日を写す
その胸の 奥の窓で
かつて唄った
喜びの 小鳥たちのなかの
最後にわたしを 置いてください