夜更けに満ちる 嵐の雨の
たった一滴に
選び取られて やがて射貫かれて
波紋立つ一点
守れる囲いは 影を曳いて広がる
生きてこれまで 地を踏み足は
歩んだと言えるか
何に当たって 誰にぶつかって
自由を失い
手にした重みは 風が語る幻
人はどうしても
出会わずにいられぬ
いつか 呪わしい己の姿と
顔を覆うほどの
生まれる朝のひかりはすべて
死からこぼれてくる
だからこの眼は 見えざる向こうの
眩しさを知っている
涙は気づかぬ振りの為に
溢れた
人はどうしても求めずにいられぬ
この世にありき
美しい美しいものを
密やかに
甘く深く長らう息止まろうが
神へ捧ぐ信仰に似た
厳かな苦しさを
けれど時として悟らずにいられる
いつか 呪わしい己の姿と
映し重なった
甘い深い微笑を持つ分身の
神と悪を讃え合った
底知れぬ 魂を