Published 2016-06-23
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野に吹く微風に 小さなスミレその心 影を曳き揺れる 軽やかに駆ける 美しい娘の 土を撥ねる素足見つめ ああ スミレは思う 目立たぬ儚い私など 摘まれたとて あのやわらかな胸 抱きしめられるなど 叶うことのない夢だろう ああ ならば娘よ 白く滑らかなその爪先で 踏んでおくれ 静かに青い血吐き散らして 指へと口づけよう そして死なん 幸福のスミレは