一人の旅人が語り継いだのは 稚く笑う少年の詩(うた) 毅魂 唯一の代と選ばれ 清らかな総身奉る 生を受けたその折に運命(さだめ)と決められ 務めを告げられた 崇む人々 貢物を並べ 花弁を散らし 揚言した祭日 刹那 安穏の時も すべては虚しき偽り 偶像に与えられたカタルシス 兆し見せしむ 何れ来る砌 『信ずることで救いを求め 欲すれば与えられるだろう』 黙すればするほど沸く シュプレヒコール 少年が真理だと臆したのは 様相を呈し蔓延る狂気 やがては言葉をも奪われた 俗間の人の心奥である 最期の夜 少年に宛て旅人は言う 『心からの祈りを...』 『あなたが見る世界の変遷と共に 生き続く花になれるのならば...祈る』 冷えた足元に落ちる 色を失い枯れた花弁を拾い 微かに震えて零れる 音無き歌声が響いた 狂気のなかで少年は望む 新しい命を与えられ 自由に咲くことの出来る花になると やがて旅人は新たな地目指し 儚きを示す詩人(うたびと)となり 人知れず哀願の素懐を遂げる 枯れた花散らし 歌声遥か